気が向かないことがに手をつけられない僕らはダメ人間なのか。
あなたが自分の不動産を売りたいとき、不動産の仲介業者は、取引成立時に、売買価格の3%を報酬として受け取ります。
さて、あなたの不動産をあと100万円高く売るために、仲介業者はどのぐらい努力してくれるでしょうか?
あなたにとっての100万円は、仲介業者にとってはたったの3万円です。
■僕たちはダメ人間なのか
日々生活してますと、「気が向かないこと」っていうのは色々とありますよね。
恥ずかしいかな、僕もいい加減な人間なので、やらなきゃいけないと思いながら手がつかないことがたくさんあります。
たとえば僕が以前営業の仕事をしていたころ、メールを送っても返信の無いお客様に電話でフォローをするのが苦手で、なかなか手をつけることができませんでした。
そういう「やらなければいけないのに出来ないこと」が溜まってくると、「あー俺はダメな人間だ。俺のようなダメ人間は一生もやしのヒゲでもむしる仕事でもして生きていこう」などと自暴自棄になりがちですよね。
でも待ってください。ちょっとヒゲむしる手を止めてください。
これ、本当に僕らがダメなんですかね?
■インセンティブとしくみなのだよ。
- 作者: スティーヴン・D・レヴィット/スティーヴン・J・ダブナー,望月衛
- 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
- 発売日: 2007/04/27
- メディア: 単行本
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※記事の冒頭の不動産屋のエピソードは、この本から拝借したものでございます。怖くなってしまった方はすみませんね。
※このエピソード以外にも、スモウの八百長、キラキラネームをつけられた子供の将来、人工中絶と犯罪率の関係などなど、刺激的なテーマが盛りだくさんです。
この本が随所で訴えているのが、「人の行動はインセンティブで決まる」ということです。
簡単に言えば、ある行為を「する」ことと、「しない」ことのどちらに魅力を感じるか、ってこと。
さっきの話で言えば、お客様のフォローをすることのメリット(売上、給与)とデメリット(時間、疲労)を秤に掛けて重たいほうに、人間は向かってしまうわけです。
つまり、「がんばって成績を上げても、がんばりに見合った対価が得られないと思ったら、人間は行動しません」し、逆に、「大した対価は無くても、大した努力をせずにそれが得られるなら、人間は行動する」んです。
だから一番の問題は「しくみ」だと思うんですよね。
人を動かしたければ、人が求めているだけの対価を与えるか、もしくは動く負担を減らしてやるか、どちらかのしくみが上手く働けばいいんです。
前者であれば、給料を上げるか、またはメリットの啓蒙をするか。
後者であれば、CRMツールやマーケティングオートメーションツールを入れるとかですかね。
あと番外編(実は王道?)として、恐怖政治による支配というのもありますが、やっぱり人は離れていきますよね。
というわけで、僕やあなたが「気が向かない」のは、われわれがダメなのではなくしくみがダメダメなのです。
明日も誇りを持ってネットサーフィンしましょうね。
それか、もやしもんでも読んでなさい。